● 遺言執行者とは?
遺言執行者とは、遺言者の死後に、その遺言の内容を実現する行為を行う者をいいます。
遺言執行者は各相続人の代表として、さまざまな手続きを行う権限を有しています。遺言執行者は、未成年者と破産者以外であれば相続人などどなたでも就任することはできますが、弁護士などが選任されるケースも多くあります。
● 遺言執行者を選任する必要はどのような場合か?
遺言書を作成される場合、その遺言内容によって、遺言執行者が必要になることがあります。
具体的には、①認知、②相続人の廃除、③相続人の取消しの場合には、法律上、遺言執行者が遺言の執行をしなければならないと定められていますので、これらの場合には遺言執行者を選任する必要があります。
これら以外の場合は、遺言執行者を必ずしも定める必要はなく、相続人が執行すればよいとされています。しかし、例えば、全ての財産を相続人ではない第三者Xさんに遺贈するといった相続人の法定相続分が不利になる内容の遺言であった場合などは、相続人による執行がされない可能性が少なくありません。そこで、このような場合にも、遺言執行者を定めておくことで、遺言執行を迅速に実現することができます。
● 遺言執行者の職務は?
遺言執行者の具体的な職務執行のおおまかな流れは次のとおりです。
- 遺言執行者は、まず相続人、受遺者などの利害関係人に遺言執行者に就任したことを通知します。
- 次に、遺産の内容を調査し、遺産目録を作成して相続人に交付します。
- その後、遺言内容に従って遺言執行手続きを行います。
- 全ての遺言執行が終了すると、利害関係人に任務終了の通知をします。
● 遺言執行者を選任するメリットは?
① 遺言内容をより迅速かつ確実に実現できる可能性が高まる
例えば、遺言書の中で不動産の遺贈がなされている場合、遺言執行者が選任された場合は、受遺者に移転登記をするためには遺言執行者と受遺者との間の共同申請をすれば足りますので、相続人が多数でも、受遺者に迅速かつ確実に登記の移転を行うことができます。
② 他の相続人は遺言の内容に反した財産処分ができない
遺言執行者が選任されている場合には、相続人による遺言の内容に反した財産処分が出来なくなるので、遺言執行者が選任されている場合において財産処分がされたとしてもその処分行為は絶対的に無効になります。
遺言執行者が行う事務は、相続人・受遺者への連絡、遺産の調査・確認、財産目録の作成・相続人への交付、預貯金口座の解約払戻手続き、土地・建物の所有権移転登記手続き、執行事務の完了報告等、煩雑な手続きが多くあります。
遺言執行者には弁護士等でなくともなることできますが、これらの遺言執行事務を不慣れな方が迅速かつ適切に対応をしていくことは、煩雑で、精神的にも負担が大きいこともあろうかと思いますので、お困りの場合には専門家である弁護士にご相談ください。