遺言書がない場合や遺言書が存在しても無効になった場合などでは、相続人全員で遺産分割を行う必要があります。
一般的に、遺産分割の流れは、下記の順序で進みます。
① 相続人の調査・確定及び相続財産の調査
② 遺産分割協議
③ 調 停
④ 審 判
① 相続人の調査・確定及び相続財産の調査の注意点
この段階で相続人が漏れていた場合などは、せっかく遺産分割が成立しても再度これをやり直す必要が生じてしまいます。
また、相続人と相続財産(遺産)の範囲に争いがある場合には、遺産分割に入る前に、別途裁判手続を行う必要があります。
② 遺産分割協議の注意点
相続人と遺産の内容が確定すると、相続人全員で遺産分割協議を進めていくことになります。
遺産分割協議が調った場合には、遺産分割協議書を作成します。これによって、遺産分割協議の内容に従った不動産登記の移転や預金口座の払戻等の各種手続きを行うことができます。そのため、相続人の1人又は複数名が結託て、遺産分割協議書を作成し、署名・捺印を迫られることがあります。
これに安易に署名・捺印してしまうと、不動産登記の移転や預金口座の払戻しなどの手続きが進んでしまいますので、納得できない場合は、署名・押印をせずに、専門家である弁護士に相談することをお勧めします。
③ 調停の注意点
当事者間で遺産分割協議が調わない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。
調停を有利に進めるには、適切な証拠に基づき説得的な主張を行い、調停委員を納得させるということが重要になります。また、調停では、不調になった場合には審判に移行するため、審判になった場合を常に想定して手続きに対応していくことが重要です。
そのため、遺産分割調停を進めていくにあたっては、弁護士に事前にアドバイスを受けるか、弁護士に委任することを検討されるのが良いと考えられます。
④ 遺産分割審判の注意点
遺産分割調停でも話合いがまとまらない場合には、家庭裁判所が一切の事情を考慮して、公権的に遺産分割の方法を決める審判手続きに移行することになります。
ここで注意すべき点は、遺産分割に付随する問題(例えば、不動産の賃料等)は原則審判の対象事項には含まれないために、別途訴訟提起をするなど紛争が同一手続内で一回的に解決しない可能性があるということです。そのため、審判に移行する前の協議、調停の段階で解決するのが望ましい事案もありますので、協議や調停の段階でなるべく早めに専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。