請求できる遺留分(遺留分侵害額)は、以下の手順で計算していきます。
① 遺留分算定の基礎となる財産額の計算
(被相続人が相続開始時に有していた財産の価格)+(贈与財産の価格)-(相続債務の価格)
② 遺留分額の計算
遺留分算定の基礎となる財産額(①で計算された額)×個別的遺留分の割合
③ 遺留分侵害額の計算
(遺留分額)-(遺留分権利者が相続によって取得した財産額-相続債務負担額)-(特別受益額+遺贈額)
おそらく文字だけではイメージが沸きにくいと思われます。
そこで、具体的事例に基づき、請求できる遺留分を上記の手順に沿って計算し
てみましょう。
〈具体例〉
相続人:子2人(長男A、長女B)
ABが相続した遺産総額:5,000万円(法定相続分に従って1/2ずつ相続)
相続開始前の半年前に第三者Cにした生前贈与額:1億円
負債の金額:2,000万円
① 遺留分算定の基礎の基礎となる財産額
5,000万円 + 1億円 - 2,000万円 = 1億3,000万円
※ 1 遺留分に加える対象となる贈与について
民法上「相続開始前の1年間にしたもの」は全て遺留分の算定対象に含まれると規定されています。それ以外の贈与であっても、「当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したとき」は遺留分の算定対象に含まれます。
また、具体例とは無関係ですが、特別受益財産については、判例上、特段の事情がない限り、相続開始1年前であるかを問わず、又当事者双方が損害を加えることを知っていたかを問わずに遺留分の算定対象に含まるとされています。
② 子一人あたりの遺留分額
1億3,000万円×1/4(個別的遺留分の割合)=3,250万円
③ 子1名あたりの遺留分侵害額
3,250万円 -(2,500万円-1,000万円)=1,750万円
ご自身がどの程度の遺留分を請求できるかは、複雑な計算を伴う場合もありますので、お悩みの場合には一度弁護士にご相談されることをお勧めします。